恐怖を克服する方法Step1:暴露法について納得する

事前記事

こちらの記事を読む前に、
以下の記事をご覧いただくことをおすすめします。

 

段階的暴露法のステップ

段階的暴露法は次の6つのステップで行います。

  1. 暴露法について納得する(このページ)
  2. 回避行動を特定する
  3. 不安階層表を作る
  4. 暴露をする
  5. 効果の確認をする
  6. 繰り返す

 

この記事では、

①暴露法について納得する。

について、お伝えします。

 

本人が納得することが必要

段階的暴露法が上手くいくためには、

恐怖を克服する本人が、

暴露法についてよく理解して、
納得の上で取り組むことが、

とても大切なことです。

例えば、
クモ恐怖症を克服する場合でも、

「克服するんだ」
という自分の意志で、クモを見るのと

無理やりクモを見せられて
「クモに慣れなさい」とやられるのとでは

暴露法の効果は全く変わります

無理やりやらされた場合は、
恐怖克服の効果が無いばかりか、
それ自体がトラウマになる可能性もあるので、

必ず本人が納得した上で、
行うようにしましょう。

 

不必要な恐怖に慣れるプロセス

暴露法とは、分かりやすく言うと

「不必要な恐怖になれる方法」

です。

 

なぜ不必要な恐怖を感じるかについては、
以下のリンクをご覧ください。

恐怖のメカニズムとその対処。恐怖を克服する方法。

 

通常、不必要な恐怖に対する不安は
その恐怖に晒され続けることで、
下記の図1のように次第に低下していきます。

 

図1:通常の恐怖

 

たとえば、

クモをみた時に
「何かされるのではないか」
と不安になったとしても

その状況にしばらく居続けると
少しずつ不安は減少していきます。

 

なぜ、不安が減少するかというと

人間には、
身体の状態を一定に保つ機能
(身体調節機能)

が備わっているからです。

 

不安が一時的に高まったとしても、
しばらくすると副交感神経が作用して、
次第にいつもの身体の状態に戻っていきます。

 

これを繰り返すことで、

「不必要な恐怖」は「本当は安全」であり、

「怖がる必要はない」

身体が覚え直すのです。

 

恐怖を克服できない人に起きていること

一方で、恐怖を克服できない人の心の中では
どのような事が起きているのでしょうか?

回避

恐怖を克服できない多くの人は、
「回避」という対処行動をとっています。

 

「回避」とは、

その恐怖から逃げる行為です。

 

例えば、クモ恐怖の場合、

「クモがいたらその場から離れる」
という直接的な回避や、

そもそも
「クモがいそうなところに行かない」
という機会に対する回避

「逃げられないときは、他のことを考える」
などの心理的な回避

…などがあります。

 

怖いものがあれば、
それから逃げようとすることは、
生物としてごく自然なことです。

しかし、それが「不必要な恐怖」の場合、
逃げることによって、前述した
「怖がる必要なない、と身体が覚え直す機会
奪ってしまう
のです。

 

つぎの図をみてください。

図2:身体が覚える

これは、先ほどの図をもっと長い期間で見てみたものです。

恐怖に晒された瞬間は
不安が一時的に高まりますが、

しばらくすると、その恐怖が収まり
「怖がる必要がない」
ということを覚えます。

 

そうすると、
次に「不必要な恐怖」に晒されたときは
不安が前回よりも少なくなっています。

 

一方で次の図は、恐怖に対して「回避」を行った場合のものです。

図3:回避をした場合

「回避」をすることで、
その瞬間は不安が一気に下がります。

しかし、
「怖がる必要がない」ということを
身体が覚えるチャンスを失っているため、

また次に恐怖に晒された時には、
前回と同様の不安を感じます。

このようにして、
恐怖を克服できない人は、
ずっと同じレベルの恐怖を
感じ続けてしまうのです。

 

「回避」をやめる

すなわち、
恐怖を持続する諸悪の根源は
この「回避」にあるのです。

「回避」は一般的には、
自分自身を守るために行う行動です。

他の場面では、
非常に有効な対処法の一つなのですが、

「不必要な恐怖」に対しては、
その恐怖を持続させる原因
となってしまいます。

 

暴露法では、
「回避」を徹底的にやらないようにします。

「回避」というものは、
自分を守るための鎧ですから、

回避をせずに恐怖に向き合うということは、
かなり勇気決意が必要なことです。

 

そのため、はじめにお伝えしたとおり
段階的暴露法を行う上では、
この仕組みをしっかりと理解し、
納得の上で取り組む必要があるのです。

 

次のステップ

次回は
「②回避行動を特定する」
についてお伝えします。

 

次の記事はこちら。