1. 恐怖のメカニズムとその対処:恐怖を克服する方法①

恐怖のメカニズムとその対処:恐怖を克服する方法①

Lukka_Richie / Pixabay

どうしても怖いものってありませんか??

私は、ホラー映画は怖くて見れませんし、
ジェットコースターも怖くて乗りたくありません。

 

他にも、人によっては色々なことに恐怖を感じますよね。

 

高いところが怖かったり、
クモが怖かったり、
注射が怖かったり、
人前で話すことが怖かったり

…と、本当に人それぞれです。

 

今回は、そのような
恐怖を克服する方法
についてお伝えします。

 

 

恐怖を克服する方法

恐怖を克服する方法…

それは、その恐怖に「慣れる」ことです。

 

「そんな単純な…」
と思うかもしれませんが、
恐怖症の治療にも使われていて、
効果も実証されています。

 

なぜなら、
それが恐怖のメカニズムの本質を突いているからです。

 

なぜ恐怖を感じるのか?

そもそもですが、
なぜ私たちは恐怖を感じるのでしょうか?

 

恐怖のメカニズムはいたって単純です。

私たちは
身の危険があることに対して恐怖を感じるのです。

 

これはもう何万年以上も昔に、
進化の過程で人間に備わった機能です。

私たちの祖先が、
ジャングルで狩りをしたり
木の実を食べたりして生きていた頃、

もし恐怖の感情がなかったら、
どうなっていたでしょうか??

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ライオンやワニなどの猛獣に、
恐れず立ち向かうのは勇敢ですが、
間違いなく食べられて死んでしまいます

 

私たちの祖先は
そのような危険なものに恐怖を感じることで、
危険を避けて
生き延びることが出来るようになった
のです。

恐怖があって、良かったですね!

 

恐怖は必要

そんな風に、
恐怖はそもそも
危険なものに対して
自分の身を守るために感じる
自己防衛の感情です。

 

例えば
走っている車に恐怖を感じなかったら、
道路に飛び出して死んでしまいます。

恐怖は我々の身を守るために、
今でも欠かせない必要な感情なのです。

 

…ってことは、
恐怖は必要だから、
諦めて慣れるしかないということでしょうか?

いやいや、そうではありません。

 

 

現代の恐怖

さて、ここで少し考えて欲しいのですが、
ホラー映画は危険でしょうか?

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暗いところで激しい映像を見るのは
ちょっと目に悪いかもしれませんが、
ライオンやワニに立ち向かうような
命の危険はありませんよね。

 

ジェットコースターも
たまに事故とかはありますが、
99.999%以上安全でしょう。

 

高いところも、窓があれば安全。

クモも、
ほとんどのクモは毒などなく無害。

注射にいたっては、
注射が必要な時に注射をしない方が危険です。

 

もうお気づきですね。

現代の恐怖の問題は
「本当は怖がる必要がないのに、怖くなってしまう」
ことなのです。

 

なぜ恐怖を感じるのか?現代版

では、
なぜ危険ではないことにまで
恐怖を感じるのでしょうか?

 

それは恐怖が「学習」されているからです。

 

「学習」と聞くと机に向かって勉強をするイメージかもしれませんが、

それだけではありません。

身体が勝手に覚えてしまうことも立派な「学習」です。

 

例えば、梅干し。

梅干しを見ると、
見るだけで唾液が出てきますよね。

食べる前からすっぱい感じが口の中に広がるかもしれません。

 

でも、
干しぶどうを見ても唾液は出てきませんよね。

 

これは

「梅干し=すっぱい」

ということを身体が覚えているからです。

だから梅干しを見るだけで、
唾液が出てくるのです。

 

図にするとこんな感じです。

梅干し=すっぱい→唾液

↓(学習)↓

梅干し→唾液

 

すっぱいと唾液が出ることは、
自然な生理反応ですが、

梅干しを見て、唾液が出ることは、
自然な反応ではありません。

けれども、
見て→食べて→すっぱくて→唾液が出る

という経験をすると、

見るだけで→唾液が出る

という不自然な反応が学習されます。

 

これと同じように
「クモ=危険」
ということを身体が覚えると、

クモを見るだけで、
恐怖を感じるようになります。

クモ=危険→恐怖

↓(学習)↓

クモ→恐怖

 

でも実際、クモは危険ではありません。

 

「クモは危険」と間違えて覚えてしまったのです。

間違いだろうが何だろうが、
身体がそう覚えてしまったので恐怖を感じてしまうのです。

 

これが、恐怖の「学習」です。

間違った学習なので「誤学習」と言ったりします。

 

改めて、恐怖を克服する方法

さてここまで分かれば、
もう(不要な)恐怖を克服する方法は明確ですね。

 

そう誤った学習を訂正すれば良いのです。

 

「クモは危険」
と身体が覚えているので、怖くなります。

だから

「クモは安全」
身体が覚え直せば、怖くなくなります

 

とっても単純なメカニズムですね。

 

でもこれ、「身体」で覚え直さなければなりません。

 

いくら「頭」で
「クモは安全…クモは安全…」と唱えていても、

クモを見ると身体が勝手に反応してしまいます。

 

「身体」で覚え直すために必要なものは知識ではありません。

「体験」です。

 

「クモが近くにいても、噛まれないし、
ましてや命が危険になることなんてない」

という「体験」を重ねることで、
「クモは安全」ということを身体が覚え直します

 

これが大雑把に言うと、
「慣れる」ということなのです。

 

ジェットコースターを克服した話

冒頭でも話した通り、
私はジェットコースターが怖いです。

でも今は前よりもマシになっています。

それはジェットコースターに何度も乗って
「慣れる」ことができたからです。

 

最初にジェットコースターに乗った時は、
怖くて怖くて仕方がありませんでした。

もちろんジェットコースターが安全であることは頭でも分かっています。

でも怖くて怖くて仕方ないのです。

(ちなみに、私は一度もジェットコースターに乗ったことがないのに「ジェットコースターは危険」と「誤学習」をしていました…)

 

それでも何とか頑張って一回乗ってみました。

楽しくはありませんがもちろん安全でした。

 

すると、次に乗るときは、
さっきよりも少し怖さがマシになっていました

そして、乗れば乗るほどどんどん大丈夫になっていったのです。

身体がジェットコースターに慣れていったのです。

 

段階的曝露療法

ジェットコースターの例はかなりの荒療治ですが、

「恐怖に慣れる=安全を身体で覚える」

方法をもっとやり易くした方法が

『段階的曝露療法』という心理療法です。

 

実際に恐怖症の治療でも使われている方法で、
効果も実証されています。

 

この『段階的曝露療法』についても
お伝えしたいと思うのですが、

その前に、一つ考えて頂きたいことがあります。

それはまた次のコラムで…。

 

次のコラム↓

その恐怖、本当に克服する必要あるの?

 

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執筆:臨床心理士 髙橋雄太
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