ノースカロライナの自閉症者への就労支援がすごすぎる話

ノースカロライナの自閉症者への就労支援がすごすぎる話

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予告どおり、本が届きましたので、まとめておきますね〜。

(もうすっかり当たり前になりましたが、頼んで翌日に本が届くとか、最高ですよね…。ラブAmazon)

届いたのはこちらの本。

自閉症の人の自立をめざして―ノースカロライナにおけるTEACCHプログラムに学ぶ

「すごいすごい」と言われているけれども、何がどうすごいのか、ネット上では情報がなかなか集めにくいノースカロライナの自閉症支援についてまとめられた本です。(貴重な本ですね!)

具体的には、2006年の夏から1年間ノースカロライナ州アッシュビルのTEACCHセンターでインターンとして研修を受けたことをまとめた本だそうです。

(すでに10年前なので現在では状況が変わっているかもしれません)

ノースカロライナで行なわれている自閉症支援の方法は、TEACCHプログラムと言われているものです。

TEACCHとは Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped CHildren の頭文字をつなげたもの。

で、

自閉症の人に対する早期の診断から成人期の住居や就労、余暇支援にいたる包括的なサポートプログラムのこと

だそうです。

つまり、早期(2歳ごろ!)の診断から、就職後まで、ずーっと一生支援し続ける仕組みです。

もうこの時点で、凄くないですか??

縦割りの日本では考えられないぶっ飛んだ社会システムです。

TEACCHプログラムって、自閉症支援に携わっている人はよく聞く単語なのですが、これ支援法というよりも、社会システムですよね。

(だから、学習から就労後まで、一貫していることに意味があるわけであって、学習だけ取り出しても仕方ないと思うのですが、どうでしょうかTEACCHに詳しい方。)

 

で、どういう思想で作られたプログラムなのかというと…

TEACCHプログラムの目標は、「自閉症の人たちが地域でできるだけ自立して生活できるように、能力を最大限に引き出すこと」

TEACCHプログラムでは、自閉症を障害として捉えることはしません。

自閉症者本人を治療しよう、変えようというのではなく、自閉症の人にあった環境を構築することにより、自閉症の人の社会適応を促す方法論を取っています。

「障害者」ではなく、自閉症という「文化」を持った人として、お互いがよりよく生きれるために、どうするかを考えた仕組みなのですね。

素敵すぎる。

 

就労の話

さてこの本には、診断から、就学前の支援、学校での支援、と書いてあるのですが、今回は就労のところに焦点を絞ってお伝えします。

残念ながら、私が視察レポートで聞いた自閉症者の就業率については書いていませんでした。これ気になるので、詳しい人いたら資料ください。

けれども、実際にどういう方法で、自閉症者の就業支援をしているかは書いてありますので、そこから紐解いていきましょう。

 

本によると、TEACCHの就労モデルは以下の4つ。

1.標準モデル(個別就労支援モデル)

・対象:知的に低くない自閉症者や、アスペルガー症候群 
・サポートの頻度:一週間に2回〜月1回 
・働いている場所:図書館、倉庫管理、事務所、スーパーマーケット、工場、フードサービス、小売業

このモデルの対象になる方は、一見すると自閉症と見えないくらい社会性がある方々なのですが、それでもやっぱり、他人との距離感がわからなくなったり、次にどの仕事をしたらいいかわからなる…、などの難しさが現れることがあります。

そのため「困っていることを支援者(ジョブコーチという)と話し合う」というサポートを受けているのです。普段は、付きっ切りでのサポートは必要ないのですが、必要な時にこのようなサポートが得られるのは良いですよね。

 

実はこのレベルの方って、日本ではまだ支援の枠に入りきっていないのですよね。

だから周囲の人にサポートしてもらえず、うまくいかずに仕事を転々としたり、うつ病などを患ってしまう方も少なくないのです。

人数的に言えば自閉症スペクトラムの中でも最も多いグループなのに、一見すると問題がなさそうだから見過ごされやすいんですね。

こういった支援が日本でもできるといいですよね〜。

 

2.分散モデル

・対象:常に一人で仕事をすることが困難な中度知的障害のある自閉症、やや問題行動を所持しているアスペルガー症候群など。  
・サポートの頻度:ジョブコーチは常に職場にいて、2〜5人を同時に支援している。  
・働いている場所:スーパーマーケット、工場、フードサービス、パン屋

こちらはもう少しサポートが必要なグループですね。

けれども付きっ切りで支援しなくても大丈夫で、何か困ったことがある時に、いつでもサポートが受けられる、という感じなのでしょう。

 

3.モービルクルー

・対象:人と接触するのが苦手な自閉症者  
・サポートの頻度:ジョブコーチは自閉症者と常に一緒にいて、1~3人を同時にサポートをする  
・働いている場所:個人の家や公園の清掃

人と接するのが苦手なので、少人数で家や公園などを掃除する仕事だそうです。

確かにハウスキーパーとか清掃員って、少人数で黙々と仕事ができるのでコミュニケーションが苦手な人に合っている仕事ですよね。

こういった自閉症の方に向いている仕事を発掘するというのもとても大切なことですよね。

 

4.1対1モデル

・対象:常にサポートが必要な最重度の自閉症者  
・サポートの頻度:ジョブコーチは常に一緒にいて、継続的な支援を受けれる。  
・働いている場所:事務所、本屋、フードサービス、パン屋、教室、郵便、スーパーマーケット

こちらは残念ながら本に事例が載っていなかったので、詳しくは分かりませんが、ジョブコーチが1対1でついて、一緒に仕事をするという感じなのでしょう。

驚くべきは働いている場所の多種・多様さ。

「常に支援が必要な最重度の自閉症者」って結構なレベルだと思うのですが、それでもジョブコーチがつけば仕事が成り立つようになるのですね。

恐るべしTEACCH。

 

これだけ幅広い範囲で、自閉症スペクトラムの方の就業先を用意していれば、私が視察レポートで聞いた「自閉症者の就業率90%以上」も無理じゃなさそうですね。

 

経済面はどうなってるの?

気になるのは、そんなに手厚いサポートをつけて、自閉症の方までお給料が出ているのか、というところですが、

なんと、上記の4つのモデル全て最低賃金以上の給料が貰えるそうです。

そう聞くと「そもそもの最低賃金が安いんじゃないの?」と勘繰りたくなりますが、日本円にして時給700円~800円だそうです。地域によっては日本の最低賃金よりも良いですよね。

日本の作業所だと時給80円とか普通にあるらしいので、これはすごいこと。

参考:障害者の就職:障害者の労働賃金

これを実現する財源については、この本には載っていなかったのですが、すべての自閉症の方へこれだけ手厚いサポートをつけて給料もちゃんと出す…ということを税金だけでまかなうのはさすがに無理だと思うので、自閉症の方がこうやって働くことで、企業の利益に貢献できているということなのでしょう。

社会の方を自閉症の「文化」にあったものに整えれば、お互いの力を発揮しながら共存することができる。これが机上の空論ではなくて、実際に実現できているということがすごいですよね。

州の財政面や、企業の利益についても、詳しく知りたいです。

 

結論

やっぱりノースカロライナの自閉症支援すごい!

この本には、実際の事例も詳しく書いてあるので、興味がある方は読んでみてくださいね〜。

自閉症の人の自立をめざして―ノースカロライナにおけるTEACCHプログラムに学ぶ


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