1. 諦める気持ちをつくるワーク

諦める気持ちをつくるワーク

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時には、思い切って諦めることも大切なことがあります。

諦めないことで前に進めることもあるけれども、
諦めるからこそ前に進めることもありますよね。

 

でも、諦めるって、実は諦めないことと同じくらい難しいこと。

 

諦めたい気持ちがある一方で、
諦めたくない気持ちもあるから、
なかなか難しいものですよね。

 

今回はこの「諦める気持ち」の作り方を書いていきたいと思います。

 

このコラムはワーク形式になっています。

読みながらぜひ実際にやってみてくださいね。

 

 

①諦めることを書いてみる

諦める気持ちを作る第一歩は、
自分自身の諦めたい気持ちを明確にすることです。

明確にすることで、諦める心の作業に取り組みやすくなります。

 

明確にするために有効な方法は、
「メモに書く」など一度文字として表現してみることです。

 

文字にすることで、
その思いは対象化されて
客観的にあつかえるようになります。

 

まずは諦める事を書いてみましょう。

 

例えば

「小説家の夢を諦める」
「片思いを諦める」

という感じです。

 

諦めること:

このページで、このまま心の作業ができるように、入力フォームを用意しております。ですが、このページではなく、ご自身のアプリや紙などに書いていただいても、全く問題はありません。ご自身がやりやすい方法をお取りください。

②諦める事を具体的にする

次は諦めることを、より具体的にしましょう。

諦めるとはどういうことなのか、
漠然としていると、
何をどうしたらいいか分かりにくくなってしまいます。

 

諦めることを行動レベルまで具体的にしてみましょう。

 

例えば

「小説家の夢を諦める」
⇒「小説を書かない」

「恋愛を諦める」
⇒「相手に連絡をしない」

といった感じです。

 

このように、
諦めることを具体的に「〜しない」という形で書いてみましょう。

 

諦めること:

具体的な行動:しない

③「〜しない」から「〜する」を導き出す

さて、

「〜しない」という形で書きましたが、

実は「しない」という目標は使いづらいものです。

 

 

例えば「〜しない」と決めていても、
今日しなかったからといって、十分に諦められたと思えるでしょうか?

今日は大丈夫でも、明日したくなるかもしれません。

そして一度してしまったら、
それは自分にとって「失敗」と感じてしまうかもしれません。

 

実は「しない」という目標は、

達成感を感じにくい上に、
失敗した場合に失敗感だけが強く感じられてしまう

という、あまり機能的でない目標の立て方なのです。

 

それに何かを諦めるという過程は、
決して、一直線に進むものではありません。

 

諦めようと一度は決めても、
またぶり返して「どうしよう」と迷ってしまう…。

 

寄せては返す波のように、

気持ちが静まったり、
またぶり返したりを繰り返しながら、

少しずつ諦められていくものです。

 

それがごく自然な諦めるプロセスなのです。

 

ですので、「〜しない」という目標を、
「〜する」という目標に変更してみましょう。

 

「する」という目標は、

したことが明確で、達成感を感じやすい

そして、ちょっと失敗しても、
最終的にできれば
「まあいいか」と思いやすい、

とても使いやすい目標の立て方です。

 

具体的には、
先ほど立てた「〜しない」という目標から
「〜する」を導き出してみましょう。

 

思い浮かびにくい時は、
「〜しないで、〜する」
という文章で考えるといいかもしれません。

 

例えば、

「小説を書かないで」で、
「別の仕事を探す」

「相手に連絡をしない」で、
「趣味をする(さがす)」

などです。

 

しないで、
する』

④心の中で思ってみる

する事が決まったら、
それをするつもりになって、
心の中でその気持ちをつぶやいてみましょう。

 

例えば、

「別の仕事を探す」なら、
『探してみるかぁ』

「趣味をする」なら、
『趣味をやってみるかぁ』

といった感じです。

する

心の中の声:

 

つぶやいてみましたか?

書くだけではなくて、
心の中でつぶやいてみてください。

 

実際にそうやってみて、
体験してみることが、
とても大切なことなのです。

⑤思ってしまう思いに気づく

さて、つぶやいてみたら、
どんな気持ちになったでしょうか…?

 

もしかしたら、
心の中で反発する気持ちが湧いてきたかもしれません。

 

例えば、

「探してみるかぁ」⇒
「ただ逃げてるだけじゃないのか」

「趣味をやってみるかぁ」⇒
「そんな気持ちになれない」

などと思うかもしれません。

 

その気持ちが、諦めるワークの鍵になる気持ちです。

 

心の中に浮かんできた反発する気持ちを、書き出してみましょう。

 

浮かんできた思い:

⑥思ってしまう思いを受け入れる

心の中に浮かんできた反発する気持ちは、

おそらく、
思いたくて思っている気持ちではないでしょう。

 

「なんでそんなことを思ってしまうのか」
「諦めなきゃいけないのに…」

などと、そう思ってしまうこと自体を責めたくなってしまうかもしれません。

 

もうお気づきかもしれませんが、
この反発する思いが、
諦める事を邪魔している思いです。

 

いくら「諦めよう」「諦めなくちゃ」と思ってみても、

心の一方では「でも…」「だって…」と反発する思いが浮かんできて、

諦めることが難しくなってしまう。

 

心理学ではこのような、
「勝手に浮かんでくる思い」のことを、
「一次意識」と呼びます。

 

そしてこの「一次意識」は、やっかいなことに、

勝手に浮かんでくるだけではなくて、

その浮かんできた思いは、

変えることも消すことも出来ません。

 

ですので一次意識は、別の呼び方で、
「思ってしまう思い」
とも呼びます。

 

勝手に浮かんできて
どうしても変えることができない…

そんな「思ってしまう思い」
人間には
誰にでもあるのです。

 

では、この諦めることを邪魔している
思ってしまう思いを、
私たちはどうしたらいいのでしょう…?

 

その答えは、分かりきっています。

 

「どうすることもできない」のです。

 

どうしようもない思いは、
どうすることも出来ません。

もし諦めようとするのならば、
諦めることに反発する
「思ってしまう思い」の存在を
受け入れながら
諦めていくしかないのです。

 

そして実は、
この思ってしまう思いを受け入れることが、
諦めるための次のステップになります。

 

例えば、

「逃げてるだけじゃないか」
⇒「そうだよね。夢から逃げてるとどうしても思ってしまうし、諦めたくないよね。そういう思いもあって当然だよね。」

「そんな気持ちになれない」
⇒「そうだよね。気持ちを切り替えるのって難しいよね。まだ好きなんだもんね。そういう気持ちもあっていいよね」

 

一見すると、
諦めることとは真逆に思えるかもしれませんが、
これがとても大切なことです。

 

思ってしまう思いは厄介ですが、
無視できないあなたの大切な心の一部です。

それを受け入れることで、
気持ちが沈静化して、
次のステップに進めるのです。

 

これも書き出してみましょう。

 

思ってしまう思い:


受け入れる言葉:

 

そして書いたら、
心の中でつぶやいてみてください。

 

実感がわくまで何度か言ってみても良いかもしれません。

 

どうでしょうか。

少し心が軽くなった気がしませんか?

 

ここまでで、もし、
今まで書いてきた思いに変化があるようならば、
そこからやり直してみてください。

何度か繰り返してみることで、
自分の中の“答え”が見つかるかもしれません。

 

諦める気持ちに変化があったのならば、
それもあなたの大切な“答え”です。

 

無理に諦める必要はないのです。

 

それでもやっぱり「諦めたい」と思うのであれば、

次のステップに進んでみてください。

⑦思ってしまう思いに寄り添った、つくる思いをつくってみる。

諦めたいことが明確になって、
諦めることを難しくしている思いにも気づきました。

 

ここまで来れば、諦めるまであともう少しです。

 

人間の心の中には、
どうしようもなく「思ってしまう思い」と、
自分で自由に思える
「つくる思い」の2つがあります。

思ってしまう思い+創る思い

これを心理学では、
勝手に浮かんでくる「一次意識」に対して、
「二次意識」と呼びます。二次意識は、思おうとして思う思い方ですから、
どんな思いでも自由に思ってみることができます。

「思ってしまう思い」は変えれないし消せません。

けれども「つくる思い」は思ったよう思えます。

 

そして「つくる思い」で思った通りに、
私たちは行動しているのです。

思ってしまう思い+創る思い⇒行動

思ってしまう思いを受け入れつつも、
諦めるための「つくる思い」を思ってみることで、
諦める事が出来るようになります。

 

つくる思いに入る言葉を考えてみましょう。

大切なことは「思ってしまう思い」を受け入れながらも、
目標の行動に取り組めそうな思い方をつくることです。

 

例えば、

(逃げじゃないか)

(逃げでも今はしょうがないんだ。
次の仕事を探してみるかぁ)

(仕事を探す)

 

(そんな気持ちになれない)

(気持ちは乗らないけど、
とりあえずやってみようかなぁ)

(趣味に取り組む)

こんな感じで、つくる思いのセリフを考えてみましょう。

 

コツは、セリフの語尾を「〜してみるかぁ」とすることです。

うまくやれないかもしれないし、
それで良いのか分からない、
けれども
やるだけやってみるか…

そうしてればなんとかなるかな…

というゆるいニュアンスを含めてみると、
無理なく思いやすくなるのです。

 

思ってしまう思い:

つくる思い:

目指す行動:する

 

つくる思いが書けたら、
心の中でつぶやいてみましょう。

心を込めて、つぶやいてみます。

 

どうでしょうか…?

しっくりくるかもしれませんし、
また反発する思いが湧いてくるかもしれません。

 

もし反発する思いが出てきたら、
⑥『思ってしまう思いを受け入れる』に戻って、
出てきた思いを受け入れてみてください。

そして、それに合ったつくる思いを作ってみてください。

 

何度か繰り返すと次第に、
自分のこころにぴったりと合った
無理なく
思える思いがつくれるようになるはずです。

 

自分の中でしっくりくる
ぴったりとした思いが心の中で思えるようになると
目指していた行動が次第に出来るようになります。

 

それでも、
心のどこかでは、
諦めきれない気持ちが
まだくすぶっているかもしれません。

 

それでも大丈夫。

それはとても自然なことです。

 

「諦めきれない気持ち」も自分の大切な一部です。

そんな気持ちがありながらも、
自分の意志で「諦める気持ち」を作って、
諦めていくことは出来るのです。

 

カウンセリングでは、
このような「気持ち作り」を
一人ひとりに合った形で行っていきます。

 

もしも今回のワークをやってみてうまく行かなかった時は、
SNS/メールカウンセリングをご利用ください。

 

どのようなところが難しかったのかを書いて頂ければ、
その続きからカウンセリングをすることが出来ます。


執筆:臨床心理士 髙橋雄太
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