うつ病と『死別の悲しみ』との違い

こんにちは。公認心理師の高橋です。

私たちは、うつ病ではなくても、
極度の悲しみや落ち込みに
襲われることがあります。

受け入れられないほどの
ショックな出来事があれば、
誰でも悲しみや落ち込みに
飲み込まれてしまいます。

その最たるものは、
親しい人との死別
ではないでしょうか。

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死別による落ち込みは、自然なこと

死別による落ち込みは、
病気ではありません。

その悲しみは、
とても苦しく、
辛いものですが、
一方で、それは
とても自然な感情です。

自然な感情ですので、
自然に過ごしていれば、
少しずつ少しずつ、
確実に、和らいでいきます。

寄せては返す波のように、
弱まったり強まったりしながら、
少しずつ穏やかな気持ちになっていくのです。

強い落ち込みは、うつ病?

けれども一方で、
あまりにも落ち込みや辛さが強いと、
「うつ病なのではないか?」
と心配になることもあるかもしれません。

確かに、死別をきっかけに
うつ病になる場合もあります。

けれども
「死別による悲しみ」と
うつ病は、全く別のものです。

うつ病と
「死別に伴う悲しみ」
との違いについて、
お伝えいたします。

うつ病の落ち込み

うつ病による悲しみや落ち込みは、
「うつ病」という脳の病気によって
引き起こされるものです。

前述した通り、
ショックな出来事をきっかけとして
発症する場合もありますが、
それはあくまで「きっかけ」の一つであって
落ち込みの原因ではありません。

そのため、
うつ病による落ち込みは、
その出来事だけではなくて
より広い範囲に対して
落ち込んだ気分を感じます。

例えば
亡くなられた方とは関係のない出来事や
自分自身のことについても
落ち込みを感じます。

その際たる例は、
「自分が落ち込んでいることに対して、
落ち込む」

という悪循環にとらわれることです。

死別による悲しみは、
死別を原因とした悲しみであるのに対して、
うつ病による落ち込みは、
落ち込むことそのものが
病気によって引き起こされているのです。

うつ病と「死別に伴う悲しみ」との違い

以上のことを踏まえて、簡単に、
うつ病と「死別に伴う悲しみ」の
違いについてお伝えします。

考え

死別
故人についての考え・故人を思い出すこと
うつ病
故人に限定されない・自己批判的・悲観的

感情

死別
空虚感・喪失感・苦痛の中にも肯定的な思いが現れる(故人との思い出など)
うつ病
持続的な抑うつ・幸福や喜びを期待できない・不幸・みじめさ

自己評価

死別
基本的には保たれる。ただし、故人に対する罪悪感や後悔を感じることはある。
うつ病
自分自身に対する無価値感・自己嫌悪

死にたい理由

死別
「故人に会うために死にたい」など故人と関連した理由
うつ病
自身の無価値感や、苦痛に耐えられないことを理由に

 

迷った時には、精神科へ

うつと死別の悲しみの違いについて
簡単な目安を書きましたが、
よく分からない場合もあるかと思います。

そのような時には、
思いきって精神科を受診してみてください。

精神科に受診すれば
個別の状態に合わせて、
医学的に診てもらえることでしょう。

うつ病ではないけれども、辛い時は…?

はじめにもお伝えしたように、
死別による悲しみは自然なことですので、
自然に過ごしていれば、
少しずつ穏やかになっていきます。

けれども、
それでも辛くて仕方がない時もあるでしょう。

そのような時は、
心の専門家 公認心理師に
相談することをお勧めします。

「地域名 公認心理師 相談」
と検索すると
その地域で活動している
公認心理師が調べられます。

また、地域によっては、
遺族の方々同士が集まって、
お互いの気持ちを話し合う
「ピアサポートグループ」が
運営されている場合もあります。

詳しくは
地域の役所などに問い合わせると、
紹介してもらえるかもしれません。

カウンセリングはこちら

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