
大前提
*この記事は、心理職向けの記事です。
*この記事は、個人的な考えをまとめたものですが、一緒にこの問題について考えてもらえると嬉しいです。
*一緒にお仕事をさせていただいている医師の皆様は、尊敬していますし、いつも本当にお世話になっております。この話は、実務レベルの話ではなくて、政治レベルの話です。
問題の背景
平成30年5月19日に公益社団法人日本精神神経学会より「公認心理師法第 42 条第 2 項に係る主治の医師の指示に関する運用基準についての見解」という書類が公開されました。
詳しくは上のリンクを見て貰えればと思うのですが、この見解に対して、ツイッター上では、「医師の指示肯定派」の心理職と「医師の指示否定派」の心理職がバチバチと臨床バトルを繰り広げていました。
それは個人的には、どっちも一理あるよなぁという感覚なのですが、私はそれ以上に、この見解は、臨床レベル・実務レベルの話としてではなくて、政治レベルの話としてしっかりと捉えたほうがいいのではないか、もっというと、そう捉えて対処しないとこれから先ヤバイのではないか、という問題意識を持ち、以下の主張(ツイート)を投げかけました。
私の主張(ツイート)
(このツイートはある方とのやり取りの一部です。さすがに相手のツイートを載せるのはよろしくないかなと思い、自分のツイートだけを載せたかったのですが、ツイートを埋め込むと自動的にその返信先も埋め込まれるというツイッターの仕様のようなので、ご勘弁ください。文句はツイッターへお願いします‥!><)
国や国民の理解を得ることが大切なのは全くその通りで激しく同意なのですが、一方で、おかしい見解には、それはおかしいでしょうとその都度、主張することも大切で、「反論しなかった=反対していない」的に思われる余白を残したらちょっとまずいんじゃないかなと思います。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) June 12, 2018
医師の指示というのは具体であって、問題の本質は「心理支援行為は医療行為」という見解だと思いますよ。学生相談や、いのちの電話、夫婦カウンセリング、医療不信などなど、心の領域が独立する意義を否定している。
心の軽視が起きている。— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) June 12, 2018
独立していないことが国民に機会損失を与えるのです。スクールカウンセリングで言うところの第三者性の機能が阻害されます。医療としてしか運用できなくなることで、公認心理師には相談できない心の領域が生まれてしまいます。それではただの医認心理師です。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) June 13, 2018
今回の日本精神神経学会の見解では、3-2で支援に関わらない疾患の主治医に対しても指示を求めよとなっていて、2-1では峻別は困難だから支援行為はすべて医行為(指示により行われるもの)とされています。つまり疾患に関係のない相談でも医療にかかっていれば指示が必要ということ。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) June 13, 2018
法律で決まったことは本気でやるかどうかではなく、やらなければ法律違反ということになります。
私の読みでは、この見解が通ればリスクを避けるため「心理支援を受ける際には医師の指示書が必須」という運用にならざるを得ないと思います。事情で指示書がない国民は公認心理師の支援を受けれません。— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) June 13, 2018
見解の冒頭に書いてありますが、彼らが求めていることは「法律の見直し」です。法律は国会で決まりますが、国会は国民の要求によって動きます。政治の世界では言わない意見は無いものとして扱われます。物わかりの良い格好をしていては、本当に書き換えられてしまいます。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) June 13, 2018
具体的なプロセスとしてはそういう事になりますよね。その前段階として、我々専門職の間でもおかしいと思うことをおかしいと共有して、団結しておかしいことに立ち向かう姿勢が必要なんだと思います。(余談ですがそういう意味では、やっぱり公認心理師会に一本化して団結することが必要な気がします)
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) June 13, 2018
まとめ
つまり、何が言いたいかというと、
心理職は相手の気持ちを察しすぎていい子ちゃんになりすぎているところがある
臨床ではそれで良くても、政治的なやり取りの場ではヤバイよ、という話です。
おかしいところは「おかしい」と心理職同士で認めて合って、一致団結して主張していかないと、これから先、あらぬ方向に、公認心理師が進んでしまうんじゃないか、と危惧しております。