1. 性別違和とは? 性同一性障害となにが違うの??

性別違和とは? 性同一性障害となにが違うの??

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性別違和とは?

「性別違和」とは簡単に言うと、
「決められた性別」と「 本人が体験している性」が違う状態のことです。

例えば、

戸籍上は「男性」。

でも、自分自身は男性ということに違和感を感じている

などの状態です。

 

「性別」に「違和感」を感じているので
「性別違和」といいます。

性同一性障害とは何が違うの?

性同一性障害と同じ?と思うかもしれませんが、
「性同一性障害」と「性別違和」は少し違うものです。

 

性同一性障害とは簡単に言うと、
「生物学的な性別」とは「反対の性」だと思う、 ということ。

例えば、

生物学的には「男性」だけど、自分自身は「女性」だと思う

といった感じ。

 

なにが違うの?と思うかもしれませんが、
例えば次のような場合はどうでしょうか。

戸籍上は「男性」だけれども、男性ということに違和感を感じている。
けれども女性になりたいかと言われれば、それも違う。

この場合、性同一性障害ではないですが、
性別に違和感は感じていますよね。

 

*2018/05/26追記

ただしこれは、
「古い診断基準に当てはまるかどうか」
というだけの話にすぎません。

精神疾患の診断基準であるDSM-4-TRでは、性同一性障害は「反対の性になりたい欲求」と明記されていますが、そもそもの「性同一性障害」という名前は、英語ではGender Identitiy Disordersと書きます。

直訳すると「性のアイデンティティの不調」という意味ですので、

たとえ「反対の性」を望まなくても、
自分自身の「性にまつわるアイデンティティ」に不調(Disorder)があるのであれば「性同一性障害」と呼んでもいいのではないかな?と私は思っています。

つまり古い診断基準上は当てはまらなくても、概念上は当てはめてもいいのではないか、という考えです。

(ちなみに性別違和の英語名はGender Dysphoriaです)

*2018/05/26追記ここまで

 

男か女かの2択ではない

そもそも性別というものは
「男性でなければ女性」
「女性でなければ男性」
簡単に割り切れるものではありません

 

 

心の中もそうですし、身体だってそうです。

生物学的に、
男性とも女性とも言えない状態で産まれてくる人が
1000人に1人の割合でいることがわかっています。

どちらにも属さない人をXジェンダーと呼ぶ人もいます。

 

性とは本来、男か女かという2択では割り切れないものなのであって、それをどちらかに割り切って考えているのは、それ自体が乱暴な考え方なのかもしれません。

性別の違和感は「障害」なの?

「性同一性障害」というネーミングには、もう一つ問題があります。

それはそういった違和感を感じている状態を「障害」として扱っているということです。

 

 

障害という言葉は、いろいろな意味が含まれた日本語ですが、

「性同一性障害」に使われている「障害(disorder)」という言葉は、

「心身の不調、異常、病気」という意味を持つ医学的な言葉です。

 

けれども、先ほども書いたとおり、そもそも性別には多様な形があることが自然なことであって、一致している状態が正常で、一致していない状態が異常だ、と言い切れるものではありません。

 

体の性別と心の性別が一致していないとしても、それが自分自身だと受け入れて生活をしている人もいますし、それはそれで一つの生き方として否定されるものではないのです。

 

けれども一方で、そいういった状態に苦痛を感じている人も多くいて、それをサポートするために医学的な技術が有効なので、性同一性障害や性別違和は医療の対象になっています。

 

さらにもっというと、

性同一性障害というネーミングは、
反対の性を望む人々にとっても、
おかしいのではないか?
という考えもあります。

 

どうしてかと言うと、

性同一性障害とは、
性アイデンティティの不調が問題
という名前ですが

反対の性を望む人にとっては、

性アイデンティティの方が真実であって、

治療対象は、身体の性別の方です。

 

感じている性アイデンティティの方を
問題にする名前ではなくて、

「現在の性別に対して違和感を感じている」

という現象そのものを表した
「性別違和」という名前の方が

より本人の気持ちに
合っているのではないか、

と考えられているのです。

 

性別違和は性同一性障害を拡張する概念

このように、性には色々な形があって、

性同一性障害という枠組みだけではカバーできない

けれども、
サポートを必要としている人がいることがわかってきました。

こういった人たちに対して、
性同一性障害よりも、より幅広い範囲で、
支援やケアができるようにと考えられた概念が、
「性別違和」なのです。

 

性別違和の治療とサポート

性同一性障害の治療というと、
性転換手術などが真っ先に浮かぶかもしれませんが、

反対の性になりたいというわけでもない場合、
どのような治療やサポートがあるのかイメージがつきにくいかもしれません。

実は、性別違和も性同一性障害も、
治療の入り口は「精神的サポート」とされています。
(参考:性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン

 

性別違和や性同一性障害の場合、
単純に体が納得いくものになればよい訳ではありません。

「自分自身の性をどのように捉えるか」
「それを周りの人にどう伝えていくか」
「どんな生活を自分は望むのか」
「そのためにどのような方法をとるのか」
…などなど、

治療の前も・後も・最中も、悩むことはたくさんあります。

 

そういった様々な悩みについて、

専門家の支援を受けながら自分なりの答えを出す…

ということが、最初の治療や精神的サポートなのです。

 

ですので、性別違和についての最初の相談は
「精神科」か「心理カウンセリング」が望ましいと考えられています。

いままで抱えてきたことを知らない人に相談するということは、かなり勇気のいることだと思いますが、精神科医や臨床心理士などの専門家は、きっと力になってくれます。

 

当サイトでも、性別違和のカウンセリングをお受けしておりますので、よろしければご利用ください。

SNS/メールカウンセリング

 

また、性別違和のカウンセリングについてより詳しく知りたい場合は、こちらの記事もごらんください。

性別違和のカウンセリングは何をするのか?

 


執筆:臨床心理士 髙橋雄太
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