1. おねしょ治療をマンガで描いた『拝啓、アスペルガー先生』がすごく良い

おねしょ治療をマンガで描いた『拝啓、アスペルガー先生』がすごく良い

DivvyPixel / Pixabay

ということで、今日はちょっと漫画の紹介です。

『拝啓、アスペルガー先生』という漫画で、
子どもが困っていることを、
臨床心理士がカウンセリングを通して
解決をしていくとうテーマの漫画です。

原作が臨床心理士

この漫画のすごいところは、
原作が臨床心理士だということ。

臨床心理士が原作を書いた漫画というのは、
初めて見るかもしれません。

(もし他にあったら教えてくださいね)

介入も的確

上のリンクから、無料の話が読めるので、
ぜひ読んでみてほしいのですが、

作中で行われている介入も、
非常に的確です。

ちなみに、リンク先の無料のお話は、
おねしょ治療の事例です。

これは普通に、
専門家が読んでも勉強になるんじゃないのかな。

 

 

おねしょ治療の解説

『拝啓、アスペルガー先生』に便乗して、
ちょっと、作中で行われているおねしょ治療を
心理学的に解説してみますね。

恥ずかしいを変える

まず、最初にやられているのは、

おねしょを、
『恥ずかしい、隠さなくちゃ』
とする心の流れを変えるということ。

これがなぜ必要かというと、
心理的な要因で起こるおねしょは、

「おねしょをしちゃダメだ」

と思えば思うほど、

逆にそれがストレスになって、
おねしょが起きてしまう

という悪循環が起きるからです。

 

なので、
「恥ずかしい、隠さなきゃ」
とせずに、
「クセの一つで誰にでもあること」
とすることで、
この悪循環からまずは離れます。

 

必ず治るという動機付け

そして、その上で
「クセだから、必ず治る」
ということを強調します。

こうすることで、
「隠さなきゃ…」として
悪循環にハマっていたものが
「クセを直そう!」と
意欲的に取り組めるようになります。

 

 

寝る少し前にお茶をたくさん飲む

この介入には、二つの重要な意味があります。

一つは、
「お茶をたくさん飲んだんだから、おねしょをしたって仕方ない」
と思えるようになること。

こうすることで、
おねしょの失敗がたいして気にならなくなります。

「失敗を気にしてストレスが高まりおねしょをしてしまう」
という悪循環をここでブロックしています。

二つ目の重要な意味は、
お茶を飲むことで、
寝る前におしっこが出るように誘導する
ということ。

生理学的に、
一番おねしょをしにくくなるのは、
おしっこが十分に出たあとです。

その状況を人工的に作り出します。

 

おしっこをする最も最適なタイミングは、
「寝る直前」ですので、

お布団に入って寝る前におしっこが出そうになる
くらいのタイミングを狙って、
お茶をたくさん飲ませます。

ここら辺はちょっと調整が必要なところで、
実際のカウンセリングでは、
うまくハマるまで何回か試行錯誤が必要なポイントだと思います。

 

…ただここで注意が必要なのは、

たとえ寝る直前におしっこが出来たとしても、
おねしょをする可能性はまだまだある
ということです。

たとえ、おしっこが出来たとしても
「これでおねしょしなくて大丈夫だね」
などと

不用意なプレッシャー

をかけないように注意する必要があります。

 

ゲームにする

これも、ちょっとしたことなのですが、
非常に重要なポイントで、

このような介入を、
どれだけ楽しくできるか
というのは、
子どもの支援では非常に重要です。

 

そのために、作中では、
最初におねしょをせずに起きれた日は、
「すきな食べ物を、たくさん食べれる」
というご褒美を設定しています。

このような方法に対して
「ご褒美で釣っているだけ」
というような的外れな批判をする方がいるのですが、

ここで重要なのは、
ご褒美自体ではなくて、
ご褒美を設定してそれを目指す
という行為自体が、
楽しく家族みんなで協力できる
ということ。

 

問題行動を変えるということは
非常に憂鬱で骨が折れる作業です。

 

子ども本人も辛くなってしまいますし、
それを支える家族も苦しくなってしまいます。

下手をすると、
解決する前にドロップアウト…
なんてことも起きかねません。

 

それを
楽しいゲームとしてデザインし直すことで
問題行動に取り組みやすくするのです。

 

臨床心理学×漫画

以上、ざっと私が漫画から読み取ったことを書き出してみました。

こういったことを、いちいち説明しなくても、
漫画ですぐに理解できるのは、本当に素敵なことですよね。

 

臨床心理学×漫画

いいんじゃないかなぁ、

と感動した話でした。


執筆:臨床心理士 髙橋雄太
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