1. 公認心理師は「医師の指示」を結局のところどうしたらいいか

公認心理師は「医師の指示」を結局のところどうしたらいいか

voltamax / Pixabay

どうも。臨床心理士 兼 公認心理師の髙橋です。

この度、晴れて公認心理師になってしまったので、「医師の指示」をしっかり考えておかなければならない!と思い、運用基準を噛み砕いて読んでみました。

運用基準の本文はこちらから
公認心理師法第 42 条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について

つまり何を言ってるの?

1.本運用基準の趣旨

「関係者等との連携を保たなければならない」(第42条第1項)
「当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない」(同第2項)

「本運用基準は…主治の医師がある場合に、その指示を受ける義務を規定する第42項2条について…公認心理師の専門性や自立性を損なうことのないようにすることで…業務が円滑に行われるようにする観点から定めるものである」

→つまり、公認心理師は自立的に業務をすることを基本としている。

2.基本的な考え方

「公認心理師が行う支援行為は、診療の補助を含む医行為には当たらない」
「主治の医師の治療方針とは異なる支援行為を行うこと等によって…効果的な改善が図られない可能性があることに鑑み…その治療方針と公認心理師の支援行為の内容との齟齬を避けるために設けられた規定である

→つまり、主治医の治療方針との齟齬が避けられれば良い。

3.主治の医師の有無の確認に関する事項

「主治の医師があることが合理的に推測されるに至った場合には、その段階で有無を確認することが必要である」

→つまり、すべてのクライエントに主治医の確認をする必要はない。
→ただし合理的に推測された場合は、確認する必要がある。

「主治の医師の有無の確認は、原則として要支援者本人に直接行うものとする。…難しい場合には…その家族等に…確認することも考えられる。いずれの場合においても、要支援者の心情を踏まえた慎重な対応が必要である。」

→つまり、クライエント以外への確認は必須ではなく、ケースバイケースで対応してOK。

4.主治の医師からの指示への対応に関する事項

(1)主治の医師からの指示の趣旨

合理的な理由がある場合を除き、主治の医師の指示を尊重するものとする」

→合理的な理由があれば、尊重しなくてOK
→合理的な理由がなくても「尊重」すればOK
→「指示を受けなければならない」とはされているが「指示に従わなければならない」とはなっていない。受けた指示を尊重しておけばよい。

(2)主治の医師からの指示を受ける方法

「同一の医療機関ではない場合…要支援者の安全を確保する観点から…情報等を主治の医師に提供する等、当該主治の医師と密接な連携を保ち、その指示を受けるものとする」

→つまりクライエントの安全を確保するために、指示を受けるように、ということ。例えば、カウンセリングの中に希死念慮が出てきた場合は、医師にその情報を提供し、指示を受けなさいということ。安全確保に関係のない情報は提供する必要がないし、指示を受ける必要もない。

(3)指示への対応について

「医師の治療方針と異なる支援行為を行なった場合、合理的な理由がある場合は、直ちに第42条第2項に違反となるものではない。ただし…医師と十分な連携を保ち…悪化することのないよう配慮すること」

→合理的な理由がある場合には、医師の治療方針と異なる支援を行える。連携を保つこと(拒否しないこと)と、悪化しないように配慮することは必要。

「医師より指示を受けた場合は、その日時、内容及び次回指示の要否について記録するものとする」

→指示内容の記録が義務付けられている。ただしその指示に不明瞭な点がある場合にはそれを確認しなければならないということはない。

(5)要支援者が主治の医師の関与を望まない場合

「要支援者が…医師の関与を望まない場合…医師からの指示の必要性等について丁寧に説明を行うものとする」

→望まない場合は、丁寧に説明すればOK。

以上


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まとめ

  1. 病院受診が推測される場合は、それを確認しなければならない。
    対応例「そのことについて、病院に相談したりしてます?」
  2. 治療方針を確認して、齟齬がないように努めなければならない
    対応例「そのことについて、お医者さんはなんて言ってます?」
  3. クライエントの安全に関わる問題が出てきたときには、その情報を主治医に提供して、指示を受ければなない
    対応例「死にたいというのは心配なので、病院の先生にもそのことを伝えてくださいね。カウンセリングでも何か気をつけた方がいいようなことがあれば、その指示も聞いてきてください」
  4. クライエント本人が医師の関与を望まない場合、その必要性を説明しなければならない。
    対応例「〇〇さんはお医者さんに知られたくないという気持ちがあるかもしれませんが、これは〇〇という理由でお医者さんに知らせることが必要なことですよ。」
  5. 主治医からの指示があった場合はそれを記録する。
  6. 合理的な理由がある場合は、主治医の指示と異なる支援をしてもよい。ただしそれによる悪影響がないように配慮しなければならない。
    対応例「病院の先生は〇〇とおっしゃっているようですが、〇〇という理由がありますので、〇〇としますね。けれども、それで何か悪いことが起こるようでしたら、別の方法を考えましょう。」

ポイント

  • 「指示を受けなければならない」とはあるが、どのようにして受けなければならないかという決まりはない。医師に直接連絡することを義務付けるものでもないので、通常の運用を考えれば、クライエントに仲介してもらい指示を受けるということが、妥当であるし、クライアントの個人情報保護上も安全であろう。
  • 受けた指示は「従う」ものではなく「尊重」するものである。どのように指示を尊重するかは公認心理師の側に自立性がある。
  • 受けた指示に対して合理的な理由があれば「尊重」しなくてもよい。
  • 情報の提供は、安全配慮のための手段であり、それ自体が目的ではない。安全配慮の目的がなければ情報提供をする必要もない。
  • 情報提供をどのようにするかという決まりはないので、こちらもクライエントに仲介してもらい、クライエントから伝えるようにお願いすることが、妥当であるし、個人情報保護上も安全であろう。

思ったこと

細かく読み解いてみると、今までやってきた基本的なことと、全然変わらないというか、そりゃ普通そうするよね、という感じの運用基準でした。

「従前より行われている心理に関する支援のあり方を大きく変えることを想定したものではない」とありますが、まさにその通りだと思います。何気にバランスの取れた運用基準ではないでしょうか。

異論・疑問あれば、ツイッターで教えてください。

法律違反はヤバイので、私も改めるところは改める所存でございます。

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執筆:公認心理師(臨床心理士) 髙橋雄太

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