
ベーシックインカムとは?
こんにちは。公認心理師の高橋です。
わたくし、公認心理師ですが、社会制度について考えることが大好きでございます。
イケてる社会制度なんかを見ると、最高に胸がときめいて、萌え萌えドキュンしてしまいます。変態ですね。
で、今回は「ベーシックインカム」という社会制度のお話です。
ベーシンクインカムとは、
生活する上で最低限必要なお金を
全ての国民に無条件で配る
といったかなりぶっ飛んだ制度です。
「全ての国民に無条件で配る」ので
0歳の子どもの、高齢者も、ニートも、
全員、お金がもらえます。
要するに、生活保護を全国民に最初から配っちゃいますよ、という話です。
ぶっ飛んでますよね。
ベーシックインカムへの批判
この制度のイケているところは沢山あるのですが、
そんなことが実際に実現できるのか?
という批判が、まずあります。
財源の問題もありますし、
働く人が減って破綻するのではないか
という批判もあります。
ただの夢物語ではないのか…?
と思うのも無理はありません。
私はこの「ベーシックインカム」に惚れ込んでいて、
かれこれ8年くらい実現可能性について考えているのですが
Twitterでいろいろな方と議論を重ねるうちに、
いや、これいけるんじゃね?
と結論づけられるようになってきたので、
ここに
「ベーシックインカムの現実的な検討」
についてまとめておきたいと思います。
Twitterの連続ツイートの転記なので
すこし読みづらいかもしれませんが、
お付き合いいただけると嬉しいです。
ご意見・ご感想・ご批判は、ご遠慮なくTwitterまでどうぞ〜。
ちなみに心理学的にも…
(一応、心理学のサイトなので、こじつけ的に心理学的なコメントを。いや、本当にそうだから、こじつけじゃないんだけどね!)
ちなみに心理学的には、「貧困」は幸福感を減少させることが分かっています。
また、多くの心の問題は、お金の問題から発生するとも言われていまし、私も10年カウンセラーをやってきて、そう思います。
ということで、公認心理師としても、社会のことやお金のことについて、しっかりと考えておくことは大切だと思うんですよね、
ベーシックインカムの現実的な検討
たいへん有意義な議論のおかげで、税と社会保障の新しい仕組みについて、考えがまとまってきたので、連続ツイートとして残しておきたいと思います(めっちゃ長いです)。なお私はこれまで、これをベーシックインカムと呼んでいましたが「所得の再分配」と呼び直した方がより適切かと考え直しています。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
まずなぜ「所得の再分配」と呼び直すかというと、ベーシックインカムというと支給ありきの制度のように感じられるからです。全ての国民に同額のお金を無条件で支給しますよと言うのが、ベーシックインカム(基本的な収入)の意味ですが、そんなお金、本当に維持できるの?と言う問題があります。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
一方で「所得の再分配」は、まずは所得の数%を全国民から集めることが先で、集まった所得を全国民に均等に再分配する、と言う制度になります。やっていることは実はベーシックインカムと同じなのですが、集めることが先で、集まったものの範囲で再分配をするので、財源を気にする必要がありません。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
また設計思想的にも、ベーシックインカムは「働かなくてもいい」と言う思想が強いですが、所得の再分配の場合、富める者から貧しい者に分配する意味合いが強くなりますので、「格差の是正」や「貧困の解消」と言った社会保障的な思想が強くなります。(おそらくこの方が社会的にも受け入れやすい?)
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
で、具体的な方法です。
全国民から所得の半分50%を所得税として集めて、その総額を国民の数で割った金額を国民一人一人に配ります。所得税50%と聞くと驚くかもしれませんが、そのあとの再分配で戻ってくるので、年収360万であれば実質所得税20%と現在の所得税+住民税と変わりありません。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
もっと具体的に言うと、2017年の平均世帯年収は560万(数値は全部”約”)。平均世帯人数は2.47人なので、国民一人あたりの平均年収は、560/2.47=226万。この50%を集めて再分配するので、再分配される額は、国民一人あたりの平均年収の半分の113万。月額にして9万円になります。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
9万円をもらえるのは、「全国民」です。
働いている人はもちろん、ニートの人も、病気療養中の人も、専業主婦も、退職した人も、産まれたばかりの赤ちゃんも、一人一人全員毎月9万円を無条件にもらえます。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
現在の生活保護の金額が、単身の場合は最大でも8万円強ですので、生活保護と同等かそれ以上の額を、全ての国民が無条件にもらえるということになります。(よって生活保護は廃止します)
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
ちなみに生活保護よりも再分配の方が優れている点は、①全ての国民がもらえるので引け目や差別がない、②車や家のなどの資産の所持を制限されない、③少額でも働いた分だけ自分の収入になる(労働インセンティブが保たれる)です。
やさしい世界です。— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
低所得者にとってかなり優遇される制度なので、その負担を負う高所得者が反対するのではないか、と思うかもしれませんが、高所得者の最大税率はすで現在の所得税+住民税で55%ですので、最高水準の高所得者は、今と変わらないどころか、今よりもむしろ得をします。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
では、誰の負担が高まるのかというと、添付した画像のように、一人暮らしの場合であれば、月収30万を上回ったあたりから負担増になります。結婚をしたり、親と同居したり、子どもがいる場合は、少なくとも月収50万までは所得の再分配によって収入が増えます。 pic.twitter.com/4WzQlTKc5M
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
つまり中間層の負担が高まります。で、国の維持を考えた時、この負担により、この中間層が海外移住をしてしまってはマズイのですが、私はそれは少ないだろうと予想します。月数万の損失を気にして海外移住をするよりも、毎月9万円の生活保証が約束されている日本にいた方が安全だからです。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
ちなみに、フランスのような暴動やテロは、社会に不満を持った貧困層によってなさるので、所得の再分配によって貧困を解消すれば、治安もより良く維持されることになります。マズローの五段階欲求で考えても、安心・安全の方がインセンティブが高いので、人口流出はむしろ減るはずです。(突然の心理学)
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
また、所得の再分配は、たくさんの人数で暮らした方がお特なので、これを導入するだけで少子化対策になります。専業主婦や、子ども、高齢者にも等しく分配されるため、待機児童の問題や、親の介護の問題なども、ある程度は解決することが期待できます。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
さて、所得を先に集めるので財源は考えなくてよい、ということを言いましたが、「所得の再分配」の財源は必要なくても、今まで所得税で集めていた財源を別のところから確保しなければなりません。(所得税は全て再分配されるため、税収としては見込めなくなります)
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
現在の所得税+住民税の税収は32兆円です。これを補填しなければいけませんが、その前にまず、所得の再分配が行われることで、不要になる制度があります。それは「生活保護」と「年金」制度です。所得の再分配で、ある程度の所得は保証される訳ですから、この二つは撤廃しても問題ありません。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
したがって、生活保護の4兆円、年金の11兆円は必要ありませんので、32-4-11=17兆円が不足分となります。これを消費税で賄うと消費税9%分になります。今は8%ですので+9で17%の消費税です。
消費税+9%のコストで、貧困と年金の問題が全て解決、これを良しとするかどうか、どうでしょう…?
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
ちなみに、消費税は逆進性がある税金で、低所得者に対して厳しい税制だと言われていますが、所得の再分配自体が、かなり低所得者を優遇する制度ですので、同時に導入することを前提にすれば、所得税の逆進性は再分配によって十分すぎるくらい相殺されて、低所得者は今よりも生活しやすくなります。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
また、不況になった時に、再配分が少なくなって低所得者が困窮するのではないか、と言う意見もいただきましたが、これも問題ありません。なぜなら、これは所得の平均値の半分を分配する仕組みだからです。次のツイートで詳しく説明します。
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
不景気になると、低所得者が増えます。そうすると所得の中央値は、平均値よりも下回ります。中央値がその国の大多数ですから、中央値に沿って物価は変動します。不況になるほど、中央値より平均値が高まります、再分配によって、低所得者の収入は中央値に近づき、物価は下がり生活しやすくなります。 pic.twitter.com/qvbOhg7bRa
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 9, 2019
ご意見・ご感想、募集しています
ベーシックインカム、もとい「所得の再分配」について、いかがでしたでしょうか?
触れられていない問題
検討を要すること
…などなど、この他にもたくさんあるはずです。
そういったご意見、ご批判、または率直な感想などあれば、ぜひ上記のツイートに返信していただくか、当サイトのリクエストフォームまでお寄せいただけると、大変うれしく思います。
「よい社会は、私たち国民が作っていく」
と、割と本気で私は考えています。
特に影響を受けた本
8年くらいベーシックインカムやそれに関連した社会についての本を読み漁っているのですが、その中で特に影響を受けた本を書いておきます。
働きざるもの、飢えるべからず
2009年の本ですが、おそらく私がベーシックインカムについて初めて知った本です。
ベーシックインカムがどれだけイケている制度か書かれています。
父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』
タイトルが最高潮に胡散臭いのですが、とても良い本です。
(マーケティング担当者を呪いたくなります)
この本は、直接はベーシックインカムについて書かれた本ではないのですが、ベーシックインカムの基礎になる「経済の仕組み」「資本主義の問題点」について、かなり分かりやすい言葉で書かれています。(娘のために書いたらしいのですが、本当に中学生くらいでも理解できる言葉で、経済と資本主義の本質的な事柄について書かれています。)
これを読むと、ベーシックインカムを導入する意義が、よくわかるはずです。
追加の検討(随時更新)
所得の再分配による「市場の民主化」という側面はかなり重要なポイントな気がしてきた。後で詳しく検討します。https://t.co/UjmDKmsL6T
— 髙橋雄太/ここらぼ心理相談 (@CocolaboMe) May 10, 2019