不妊が辛い理由:心の中の「親になる物語」に気づく方法

不妊が辛い理由:心の中の「親になる物語」に気づく方法

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自分の中の『親になる物語』と現実とのギャップ…。
それが不妊が心を苦しめる理由の一つなのかもしれません。

生殖物語とは?

生殖物語とは、自分自身が「親になること」についての物語です。

「子どもは何人欲しいのか」
「子どもの名前は」
「どんなお母さん・お父さんになりたいか」
「子どもと何をして過ごすか」

などなど、自分が親になることへの想いを私達は意識的にも無意識的にも持っています。

それは言葉で表せるものかもしれませんし、あるいは映像や雰囲気など言葉以外で感じているものかもしれません。

そのような「親になること」についての言葉・イメージ・ストーリーを『生殖物語』(reproductive story)と言います。

生殖物語の形成

『生殖物語』は、自分自身が子どもの時から少しづつ作られていきます。
女の子はおままごとをしながら、将来自分がお母さんになることを夢見るかもしれません。男の子は「自分もお父さんのようになりたい」とイメージをふくらませるかもしれません。

少し成長してからも、自分の家庭で嬉しい事があると「自分も将来、暖かい家庭を持つんだろうなぁ」と漠然と思うかもしれませんし、逆に嫌なことがあると「私の子どもには絶対にそんな思いはさせない!」と決心するかもしれません。

このようにして、少しづつ、少しづつ、長い時間をかけて「どんな親になりたいか」「どんな家庭を持ちたいか」「子どもにどんなことをしてあげたいか」などの想いが、自分の中で形作られていくのです。

不妊が生殖物語に与える影響

生殖物語が思ったとおりに進んでいる時は、生殖物語を意識することはほとんどないでしょう。

でも、生殖物語が思った通りに進まない時…すなわち、不妊や流産などの危機が訪れた時、自分の生殖物語と現実とのギャップが「こんなはずじゃなかった」と自分自身を苦しめるかもしれません。

自分の生殖物語について理解することの意味

不妊に直面している時に、「親になること」について考えることは、つらいことかもしれません。

それでも、自分の生殖物語を知ることは、気持ちを整える上で意味のあることです。

生殖物語は普段、意識することはほとんどありません
無意識的に「あたりまえのこと」として自分の中にあるので、自分自身でもなかなか気づけないのです。

でも確実に自分の中には存在していて、それと合わない出来事(不妊)に直面すると、なんとも言えず嫌な気分になったり、モヤモヤしたり、イライラしたりします。

自分でわからないことについては、自分ではどうすることも出来ません。
モヤモヤを解決しようにも、なぜ自分がモヤモヤしているのかがわからないと、取り扱うことが出来ないのです。

もしモヤモヤの原因が、自分自身の生殖物語にあると分かれば、その哀しみを自分で取り扱うことが出来るようになります。

自分の気持ちを自分で意識することを、心理学では「メタ認知」と言うのですが、自分の哀しみが自分で見えるようになると、それだけで少し心が楽になります

そして、自分の哀しみを自分で慰めたり、あるいは十分に哀しんで心を落ち着かせたりすることが出来るようになるのです。

生殖物語を理解する方法

生殖物語を理解するおすすめの方法は、自分の生殖物語を書いてみることです。

ノートでもパソコンやスマホでも良いので、何か記録できる物を準備してみましょう。不妊治療日記をすでに書いているのであれば、その日記を使ってもいいかもしれません。

 

書く準備が出来たら、自分が親になることにどんなイメージを持っているか想いを巡らせてみます。それは家族で過ごしている情景や、子どもと何かをしている様子かもしれませんし、「こうありたい」という言葉かもしれません。

上手に書く必要はないので、思いついた物を書いてみましょう。

文章で書いてもいいですし、箇条書きでもいいですし、マインドマップのように図にして書いてみてもよいです。絵が得意なら絵で表現しても良いでしょう。

 

今度は過去にさかのぼってみましょう。

自分自身が親になることへのイメージがどこで形作られてきたのかに想いを巡らせてみます。大抵の人は、自分自身が子どもの頃から「親になる自分」についてイメージをふくらませているはずです。

自分が小さい子どもの頃から思い出してみて、思いついたことを書き足してみましょう。

少しづつ時間を進めて、それぞれの時期にどんな「親になる自分」を想像したか、想いを巡らせて、書いてみます。
小学生の時も何か思ったかもしれませんし、思春期や、大人になってからも、何か思ったかもしれません。

 

十分に書いたら、書いた物語を眺めてみてください。

これがあなたの「親になる物語」生殖物語です。

 

眺めてみて、どんな気持ちになるでしょうか。
哀しみがこみ上げてきたり、感情が高ぶったりするかもしれません。

生殖物語のどの部分に自分の気持ちが反応して、どんな想いになったのか、書いてみましょう。

それが自分の辛さの「正体」かもしれません。

 

自分の想いが書けたら、それに名前を付けてあげてください。
例えば、『子守唄を歌いたい自分』かもしれませんし、『お母さんのように(お父さんのように)なりたい自分』かもしれません。
名前をつける事で、想いはより具体的になって扱いやすくなります。

 

名前がついたら、自分自身で、その想いを受け止めてあげましょう。

その想いは、つらいものかもしれませんが、自分自身の心の一部でもあります。

「そんな気持ちになっていたんだね。つらいよね。」

と、その想いに言葉をかけて、受け止めてあげましょう。

 

自分の気持ちを理解して、自分自身でその気持ちを受け止めることで、その想いは少しづつ静まっていくのです。

 

生殖物語を書き足す

何気なく生活していたり、あるいは治療を続けている中で、今まで気付かなかった生殖物語に気づくことがあるかもしれません。

その時は、今回書いた生殖物語に書き足してみてください。

また、以前紹介した不妊治療日記も、まだ気づいていない生殖物語に気づくのに役に立つかもしれません。

これからも自分の生殖物語に想いを巡らせる時間を、時々つくってみると良いかもしれません。

 

もし生殖物語を書いてみてうまく行かなかったり、また別のことで辛くなったりした時はメールカウンセリングをご利用ください。臨床心理士が丁寧にお話をうかがってサポートいたします。メールに自分の想いを綴ってやり取りをするということ自体にも、自分の気持ちを整理する意味があるのです。


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